ニュース: 2018年9月

アスリートとビタミンD (2018年09月22日)

早くも9月後半に差し掛かり10月へ。
秋から冬へとカウントダウンが始まります。
長い日本の冬に、アスリートとして気をつけなければいけないこと。

それはビタミンDの欠乏です。

ビタミンDの欠乏は筋力・筋量の低下、体内の生理学的反応の異常、心臓血管系機能に影響を及ぼします。

日照時間が短いのでできればサプリで補いたいところ。
理想の摂取量は下記参照ください。

以下データをまとめました。

ビタミンDと筋組織

自己分泌経路は、ビタミンDの筋骨格系機能への影響から最重要な経路として考えられている。自己分泌経路はあまり認知されていないが様々な必須代謝プロセスがこの経路を通じて行われている。一日当たり、体内のビタミンDの80%がこの経路を利用している(Heaney RP 2008)。自己分泌経路は、シグナリング遺伝子やその発現、タンパク質合成、ホルモン合成、免疫および炎症反応、細胞ターンオーバーおよび細胞合成に関与している(Heaney RP 2008)。

ビタミンDレセプター(VDR)は身体のすべての組織で確認される(Holick MF 2005)。VDRは身体の必須機能を担う遺伝子の発現を調節している。筋肉内のVDRの発見は、ビタミンDが筋骨格系機能に影響を及ぼしていることを示している(Campbell PMら2006)。
ビタミンDが筋力を高めるのには、二つのメカニズムが存在する。
第一に、筋細胞内での1、25-ジヒドロキシビタミンD3[1,25(OH)2D]の働きである。
第二に、ビタミンDは筋収縮に関わるカルシウム結合部の数またはその効率を増加させることによって、筋小胞内のカルシウム輸送を調節している。

ビタミンD欠乏状態の人がビタミンDを摂取することによって筋力が増加するという報告がある。これはビタミンDによってⅡ型筋線維(速筋線維)の量やサイズが増大するためと考えられている(Ceglia L,ら2013)。
Ⅱ型筋線維はパワーおよび非エアロビック系活動で支配的なな筋線維であることも覚えておきたい(Ceglia L,2013)。

様々な研究によってビタミンDが加齢による骨折、筋力低下、痛みに効果的であることが示されている(Campbell PM, 2006)。
いくつかの研究では、ビタミンDが老年期における筋力や筋機能を高めることが報告されている(Ceglia Lら2013)。
老年期における体内のビタミンDレベルの回復は、身体機能の低下や転倒リスクを軽減させると考えられる(Ceglia L,2013)。

Fooのチームは、思春期の女性を対象に水酸化ビタミンD(25(OH)D)の状態と骨密度、骨代謝、筋力の間の関連を調査し、ビタミンD欠乏状態では前腕の筋力低下がみられることを報告した(Foo LHら2009)。
Wardのチームは、25(OH)D の状態が筋力やジャンプ力にポジティブな影響を及ぼすと報告した(Ward KAら2009)。

筋組織や機能に関するこれらの所見は、ビタミンDは筋パフォーマンスや傷害予防に効果的であり、アスリートパフォーマンスを向上させることを示している。

アスリートにおけるビタミンDの状態

赤道からの距離や季節、日中の時間が太陽からのビタミンD合成の条件である。
太陽からのビタミンD合成は雲量や公害、皮膚の色素、年齢にも左右される。夏の間太陽からのUVB照射によって適切な量のビタミンDが産生される。

35度線より南に住んでいる人々の間でビタミンDレベルが低下しているという報告がある(Moyad MA2009)。たとえ十分に火にあたる時間があっても日焼け止めを使用すると、ビタミンD吸収作用が99%減少する(Holick MF 2008)。十分日光を浴びた者でも、冬の期間はビタミンDのサプリメント摂取が必要である(Hamilton B,ら2010)。
多くの野外競技のアスリートは日光がピークの時間帯を避けて早朝や夜に練習するが、これはUVBばく露を著しく減少させてビタミンD欠乏リスクを高める。

Hamiltonのチームは、中東のアスリートの90%が4月から10月の間、ビタミンD欠乏状態になることを明らかにした(Hamilton B 2010)。イスラエルやカタールなど理想的な緯度にいるアスリートたちも、一日当たりの日光を浴びる時間は30分以下で、ビタミンD欠乏状態である(J. Sport Med. 2010;20:368–371.)。オーストラリアにおける室内競技の女性アスリートの大多数(83%)はビタミンD欠乏状態である( Clin. J. Sport Med. 2008;18:159–161)。
対照的に理想的ではない緯度の地域であるLaramieでは、ビタミンD欠乏は室内競技および屋外競技併せても63%であった(Halliday T.M Sport Exerc. 2010;42:335–343. )。

日光へのばく露不足がビタミンD欠乏の主なリスク要因である(Willis KSら2012)。

ビタミンDとアスリートパフォーマンス

ビタミンDとアスリートパフォーマンスに関する研究は20世紀初頭にまでさかのぼる。
ロシアやドイツの研究者によって、その有効性が提言されてきた。彼らは、日光を浴びることで筋力および持久力が改善することを示した(Cannell JJ 2009)。

65歳以上を対象に行った研究では、低ビタミンDレベルの者は反射時間やバランス感覚が減少し、転倒リスクが高まることが報告された(Campbell PM,2006)。
老年期の対象者に一日当たり800IUのビタミンDを与えたところ、歩行距離や筋力が増加した(Campbell PM 2006)。

筋骨格系の生理的反応にはビタミンDレベルが高い状態にあることが望ましい(Close G.L 2013)。

摂取量

Storlie のチームは一日当たり1000IU程度のビタミンD摂取では、ビタミンD欠乏を予防するには不十分であると報告した(Storlie D.Mら2011)。
高強度のトレーニングを行うものは一日3000~5000IUのビタミンDが必要(Holick MF 2005)。

出典;Nutrients. 2013 Jun; 5(6): 1856–1868.

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