ニュース: 2018年9月

鉄と女性アスリート (2018年09月15日)

ビタミンとタンパク質に次ぐ重要な栄養素「鉄」。
酸素運搬能力や神経伝達機能など重要機能にかかわる鉄。

今日のブログは、女性アスリートにおける鉄欠乏リスクとそのメカニズムについての論文をご紹介します。

パフォーマンスに問題はないもののメンタルの問題を抱えている女性アスリートのかたは鉄(フェロケル)の摂取を試してみるといいかもしれません。特に鬱傾向がある方は。

おすすめのサプリは最後に記してあります。

鉄は人体における酸素運搬やエネルギー産生の機能性成分であり、アスリートパフォーマンスにとって重要な微量栄養素である。
特に持久系競技の女性アスリートは、競技による労作性メカニズムや月経によって多くの鉄を失うリスクが高い。鉄欠乏の予防または治療には鉄サプリの経口摂取が一般的である。しかし、鉄毒性リスクの増加や副作用の観点から今まで非難されてきた。その結果、最近ではサプリによる摂取から食事による摂取に注目が集まっている。食事による治療法では高鉄分食およびヘム鉄を基準とした食事が処方される。食事による鉄分摂取は女性アスリートの体内における鉄分を安定させ、特に激しい運動や競技の最中に体内の鉄が安定することが分かっている。

女性アスリートは一般に、鉄を除く多量栄養素や微量栄養素と接触している(Alaunyte I,ら2014)。鉄はエネルギー生産経路における必須微量栄養素で、ヘモグロビンとミオグロビンの構成要素である(Suedekum NAら2005)。
女性アスリートは食事の問題、月経、溶血、発汗、胃腸出血、運動誘発性急性炎症による鉄欠乏状態になるリスクが高い(McClung JPら2014)。

鉄欠乏の治療にはサプリの経口摂取、筋肉注射または静脈注射、食事による摂取が含まれる。因習的なサプリの経口摂取や注射もアスリートの体内の鉄レベルを改善するが(Burden RJら2015)、腹部不快感や便秘、吐き気(Zimmermann MB2007)といった副作用に悩まされる可能性がある。
よって女性アスリートにおける鉄欠乏の治療には、食事による鉄の摂取が望ましいと考えられている(Burke LM,ら2007)。

鉄の摂取によってヘモグロビンおよびフェリチン値の上昇、成人の鉄欠乏リスクの低減が見込まれる(Gera Tら2012)。女性アスリートの鉄欠乏改善のための食事プログラムは様々な結果を生み出している(Lyle RM1992)。直近では鉄分豊富な自然食が、女性ランナーや妊娠可能年齢の女性においてポジティブな結果を出したとする研究もある(Hoppe Mら2013)(Alaunyte I, ら2014)。

食餌性の鉄

食餌性の鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分けられる。ヘム鉄は動物性食品に含まれる鉄を意味し、非ヘム鉄はその他の食餌性の鉄を意味する。
ヘム鉄はヘモグロビンとミオグロビンで見られ、小腸や胃の内腔でタンパク質分解酵素によって放出される(Beard Jら2009)。ヘム鉄の吸収にタンパク質との結合は必要ない(Beard J, 2000)。
ヘム鉄はすべての食餌性鉄のうち10%程度しか存在しないことを覚えておくべきである(Beard Jら2009)。

非ヘム鉄は他の栄養素と結合し、鉄形を呈する。体内で効率よく利用されるためにブラシ縁膜酵素または食餌性還元物質によって二価鉄イオンが還元され、二価金属元素輸送体によって腸細胞に輸送される(Beard Jら2009)。非ヘム鉄の吸収は抑制因子と転写促進因子に依存的で、それゆえにこの鉄形の有効性は最大で2%から20%に変化する(Beard J 2000)。西洋食に含まれる鉄の50%は穀物製品によるものである(Beard J,2009)。そのため一般的に摂取される鉄分の大部分は非ヘム鉄である。

鉄代謝と生物学的利用能

ヒトの体内には鉄を排泄するメカニズムが備わっておらず、鉄バランスの調節は食事から摂取される鉄の総量と現在の体内の鉄レベルの状態によって決定され、ホメオスタシスによって維持される(Frazer DM,ら2005)。
体内の鉄レベルが高い場合鉄の吸収は少なくなり、欠乏状態の者は吸収が多くなる。さらに、食品からの鉄吸収は鉄の総量にだけ依存的なわけではなく、鉄のタイプ(ヘム鉄または非ヘム鉄)やビタミンCレベル、特定の有機酸、肉類、魚類および貝類、抑制因子様フィチン酸、フェノール類、および食事中のカルシウムによって決定される(Björn-Rasmussen Eら1974)。

鉄吸収とフェリチン (sFer)値の逆相関について多くの研究が行われ(Hultén Lら1995)、日常的な鉄分の喪失をカバーするに足る吸収率の低下がさらなる鉄の貯蔵を阻害することを示している。
また、ヘム鉄及び非ヘム鉄の吸収率はフェリチン値10μg/Lの被験者において40%であり、高フェリチン値の被験者では鉄吸収率が低下したという報告がある(Hallberg L 1997)。
鉄が飽和した状態では鉄吸収率は減少し、鉄欠乏状態では鉄吸収が増加する。鉄欠乏状態では、非ヘム鉄が吸収される鉄の原料となっている。

鉄欠乏

鉄欠乏は3段階で進行する(World Health Organisation . Assessing the iron status of populations. Geneva, Switzeland: WHO Press; 2007.)
第一段階では肝臓、脾臓の網内系細胞および骨髄の鉄が欠乏し、フェリチン値の低下が観察される。
第二段階では鉄輸送体である赤血球の産生が減少し、各細胞への鉄供給が損なわれる。この段階で低血清鉄になり、トランスフェリン飽和度が低下する。
鉄欠乏の最終段階では、ヘモグロビンの産生が低下して貧血状態になる。

一般にフェリチン(sFer)値が、健康な人間の鉄貯蔵の指標と認識されている(Beard Jら2009)。フェリチン値は骨髄における鉄貯蔵レベルに強く関連するため(Cook JDら2003)、低フェリチン値は潜伏性の鉄欠乏を示唆している。
成人女性の血清フェリチンの生理的レンジは15~200 μg/Lである( Scientific Advisory Committee on Nutrition . Iron and health. London, UK: TSO; 2010)。この広いレンジのために、女性アスリートにおける潜伏性鉄欠乏の兆候を示す血清フェリチンレべルの下限値は設定されていない。
一般に12 μg/Lが女性の鉄欠乏状態を示すと考えられており、この値では骨髄の鉄は完全に欠乏し、体内の鉄が枯渇している(Rodenberg RE2007)。

女性アスリートの食事による鉄の摂取

イギリスにおける成人女性への鉄摂取の推奨量は一日当たり 14.8 mgで、アメリカでは一日当たり18 mgが推奨されている。妊婦や授乳中の女性に鉄の摂取が勧められる一方で、女性アスリートには公に推奨されていない。エクササイズ時に鉄を含むミネラルが喪失することは間違いなく、体内で蓄積することによる有害作用を報告するエビデンスはごく限られている(Clarkson PMら1995)。
長距離ランナーなど持久系女性アスリートの鉄の重要性を説く研究者も存在する(Whiting SJ, 2006)。

女性アスリートは微量栄養素やエネルギーは摂取するが、食餌性鉄の摂取は疎かになりがちだという報告がある(Alaunyte I 2014)。また、食事に含まれる鉄が不足しているたに)、鉄欠乏状態に陥るという議論もある。わずかな鉄の摂取(7–20 mg/day)および体内の鉄分の低下(sFer 30 μg/L)が女性マラソンランナーで観察された(Lampe JW,1986)。加えて両研究では、プロテインやビタミンCなどの他の栄養素は推奨量近くまで摂取されているが、鉄に関しては摂取量が少ないことが報告されている。

Nuvialaのチームが行った調査では、女性ランナーの68%で一日の鉄摂取量が15 mg/day以下であった(Nuviala RJ 1996)。
HassapidouとManstrantoni は、競技シーズンの中距離ランナーの鉄摂取量が11.4~13.8 mg/dayであることを報告した。
Snyderのチームは食餌性鉄の摂取が14 mg/dayでフェリチン値6~25 μg/Lでは、体内の鉄レベルが不足していると結論付けた。

ベジタリアンの長距離ランナーにおいてはフェリチン値が著しく低く(7.4 μg/L) 、これはベジタリアン食の鉄の生物学的利用能が低いことに関連している(Snyder AC 1989)。

以上の研究から、フェリチン値の低下は食事に含まれる鉄濃度の低下に関連することがわかる。

女性アスリートの体内の鉄の状態とエクササイズの関係

ハードなトレーニングや持久系競技を行う叙せアスリートの鉄欠乏に関して、近年議論が活発である。

Pateのチームは、エクササイズの影響による鉄欠乏リスクや鉄欠乏状態について最も説得力のあるエビデンスを報告した(Pate RR 1993)。
彼らの研究は213人の参加者(111人の女性ランナー、65人の運動不足の女性)を対象に行われ、鉄欠乏状態は運動不足の女性よりも女性ランナーで顕著であることが判明した。
またフェリチン値は、走るという行為と負の相関があることが判明した。

OstojicとAhmetovicは、トレーニング期間”のみ”女性アスリートが鉄欠乏状態になると報告している。

鉄欠乏状態が激しいトレーニングによるものなのかそれとも食事に含まれる鉄分が減少しているからなのか、また、潜伏性の鉄欠乏がアスリートパフォーマンスにネガティブな影響を与えるかどうかは議論が別れるところである。
高強度トレーニングによって鉄欠乏が起こることは確認されており、加えて食餌性鉄の不足や鉄の生物学的利用能の低下、吸収率の低下が体内の鉄レベルを低下させる要因となっている。

注;同じような内容の報告が続くレポートだったので一部割愛しています。

出典;J Int Soc Sports Nutr. 2015; 12: 38.

この論文の文中では、サプリによる補給よりも食事で鉄を摂取することの重要性がしきりに説かれていた。
しかしどうだろう。現代の生活習慣において、特に一人暮らしの場合など自炊で必要量を摂取するのは至難の業ではないだろうか。

個人的におすすめなのはNOW社のDOUBLE STRENGTH IRON 36mg(ferrochel)

注意したいのはヘム鉄ではなく、フェロケルを摂取すること。
フェリチン値の回復スピードに雲泥の差があります。
ヘム鉄の摂取は時間もお金も無駄。

鉄のサプリを体が受け付けない人は、重度のタンパク質不足の可能性大。
プロテインなど摂取しやすいものを利用して一日最低でも20g×3回は摂取すべき。

アスリートでタンパク質不足はあまりいないかもしれませんが。
筋肥大はそこそこうまく行ってるけど、”元気ではない”というトレーニーもフェロケル試してみるといいかも。

うつ傾向があるひとは高蛋白質+上記の鉄試してみてください。

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