ニュース: 2018年8月

腱および靭帯の構造と機能 (2018年08月13日)

腱と靭帯の構造的特徴と病理学的考察をまとめたものです。
比較的新しいデータが多いです。

治療のアプローチ、特に栄養学的なアプローチのヒントも多く詰まっています。

個別の部位の筋腱部および靭帯のデータも今後まとめる予定。

~腱および靭帯の構造と機能~

腱の構造は、筋が骨に付着するために相応しいものになっている。
架橋三重らせん構造で構成される(RICH Aら 1955)コラーゲン含有(多くはⅠ型コラーゲン)に富んでいる(Pierre-Jerome Cら 2010)。
水分子と強固に架橋螺旋結合し(Ramachandran GNら 1968)、構造を安定させて水分子との水素結合をさらに促進し、腱の横断面のみで確認できる(Fullerton GDら 2007)。

構造は複雑で、コラーゲン高分子で構成される階層構造を示し、血管付き内腱鞘結合組織に囲まれた線維束や線維の束で構成される(Fullerton GDら 2007)。
腱鞘は二層の滑膜から成り、一般的に腱を取り囲んで狭い骨線維管や足関節などの周囲を通過する。その他の部位では、腱は緩い脂肪結合組織から成る腱傍組織に囲まれている。

腱内部の線維の方向は腱の伸張方向に依存的で(O’Brien Mら 2005)、コラーゲンは主に腱の長軸方向に走行している。四頭筋腱やアキレス腱のような複数の起始部を持つ腱は、個別の線維束で走行する複雑な構造を有している。架橋結合コラーゲン高分子の規則的構造は、健全な腱が持つ大きな張力の要因である。
しかし、スポーツなどにおける反復的な負荷は県にダメージを与えて腱障害を引き起こす。
アスリートにおける腱炎や腱鞘炎は、トレーニング方法を変えたことによる急性炎症である。

靭帯は機能的に腱と異なり骨と骨を結合しているが、構造的に類似している。主な構成の違いは高プロテオグリカン及び高水分含有量、低コラーゲン含有量の3点である。さらに靭帯構造は均一なコラーゲン構造ではなく、不規則に絡み合って編み込み構造を呈する( Nordin Mら 2010)。
靭帯は関節運動を制御しており、従って靭帯損傷は異常な関節運動に起因する場合もある。前十字靭帯などのいくつかの靭帯は、関節ROMの異なるポイントで張力を発揮する解剖学的に異なる線維束を有している。

腱付着部は線維質または線維軟骨から成る。一般的に線維性腱付着部位は、腱が長骨骨幹端または骨幹に付着する部位に見られ、濃密な線維性結合組織で構成される(Benjamin Mら2008)。線維性軟骨付着部位は一般に骨端または骨突起に始まる。

腱の血液供給は腱傍組織または小さな血管を通じて、筋腱移行部または骨腱移行部から腱に向かって供給される(O’Brien Mら 2005)。靭帯への血液供給についてはあまり知られておらず、無血管の部位もある(Bray RCら 1990)。

~腱と靭帯の病理~

腱の病理は大雑把に二種類に分類される。
一つは機械的疾患、退行変性、オーバーユース疾患を含む腱症または腱障害である。
二つ目は炎症性腱付着部炎で、脊椎関節炎で見られる症状である。「腱症」または「腱障害」という術語は退行性の特質を示す病理で用いられ、炎症プロセスを伴う病理では「腱炎」が用いられる。

腱症には様々なリスク要因が存在する。腱は加齢によって変性し、コラーゲン構造の水分含有量が減少してダメージを受けやすくなる(Tuite DJら 1997)。腱障害は血管の少ないエリアで見られ、血管もまた加齢によって消失する。
代謝または内分泌異常も腱障害のリスクを増大させる。不安定性やインピンジメントによる異常または過剰な負荷は腱障害のリスクを高める(Pierre-Jerome C,ら2010)。

組織学的に腱の変性は、フィブリン様変性や石灰化、ヒアリン変性、脂肪変性、粘液変性、低酸素性変性と関係する(Calleja Mら2010)。これらの変性では粘液物質の蓄積に伴うコラーゲン構造の混乱(Kannus Pら1991)や腱の肥厚に伴うプロテオグリカン含有物や水分の増大が見られる(Riley GP 1994)。

コラーゲン線維が断裂した領域では内部物質の断裂が徐々に進行し、最終的に腱の全層が断裂する(Pierre-Jerome Cら2010)。この領域では血管新生がしばしばみられる。
この領域における炎症性物質や炎症性伝達物質が、真の炎症反応を示しているという明確なエビデンスはない(Kannus Pら1991)。
一般的に退行変性は巨視的な腱断裂の前段階で起こり、正常な腱で起こることはまれである。

靭帯の異常は一般的に急性外傷の結果であるが、腱のように慢性の反復性マイクロトラウマも要因の一つになる(Bredella MAら 1999)。これはコラーゲン線維の間質性断裂も含むダメージの連続を靭帯に与え、靭帯の一部分または全層の断裂につながる部分断裂へと進行する。そして靭帯は伸張され弛緩する。
急性期にはしばしば靭帯周囲に体液がたまるが、それは骨挫傷、骨折、関節滲出液といった障害の可能性を示唆する。
治癒後の靭帯は肥厚して弱化する傾向があり、さらなる傷害へとつながる可能性が高くなる。

脊椎関節炎における腱の異常は、線維軟骨付着部に密接に関係する。
他の腱の疾患と同様に、血管分布の増大が見られる(McGonagle Dら2002)。正常な腱付着部構造は、骨と線維軟骨の接合部の異常によって断裂する。そこでは機械的腱障害と対照的に、マクロファージなどの炎症細胞の浸潤が見られる。

出典
Br J Radiol. 2012 Aug; 85(1016): 1157–1172.
doi: 10.1259/bjr/34786470
Tendon and ligament imaging
R J Hodgson, BM, PhD, P J O’Connor, MB, ChB, and A J Grainger, BM, PhD

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